日本における対人援助の本質は、自宅での生活をいかに延長させることができるかに尽きると考えていて、現状の最善の選択肢が「定期巡回・随時対応サービス」でした。もちろん「居場所、死に場所としての自宅」だけでは不十分で、「クライエント(利用者やその家族等)の要望に適切なタイミングで応える時間、当事者が、その気になるまで待つ時間」と「クライエントの立場で共感的理解をしながら寄り添う人」の3つが揃ってこその在宅介護だと考えています。
定期巡回・随時対応サービスは、場所の問題を解決し、職員の人材育成が適切になされれば、現状にして最善の対人援助サービスだと思います。
一方、経営的観点から考えると、定期巡回・随時対応サービスは介護事業の「持病」といわれる3つの根本的リスクを解消できます。
1つ目のリスクとして、介護報酬の1人あたり単価と施設利用定員を厳守しながら定期昇給を続けていくのは仕組みとして不可能に近いこと。
2つ目のリスクとして、地域によっては高齢者数が減少傾向に転じる地域が出始めるなか、多額の設備投資が必要な箱物事業所を開設し、減価償却に合わせて融資の返済を10年、20年と続けていくことは、その返済計画の段階で既に破綻すること。
そして3つ目のリスクは、厳格な人員配置基準を守り続ける為の、人的資源が日本の労働市場において絶対的に枯渇していることです。
定期巡回・随時対応サービスは、この3つのリスクを回避できる唯一の介護事業だと考えています。