本日のお問い合わせコーナー 【オペレーター集約について】
介護職員等処遇改善加算の概要
令和6年度の介護保険制度改定により、「介護職員処遇改善加算」が再編されました。
主な変更点は以下のとおりです。
1. 加算区分の一本化と経過措置
これまであった「処遇改善加算」「特定処遇改善加算」「ベースアップ等加算」(旧3加算)の要件を再編・統合し、加算率を引き上げるかたちで一本化して、「介護職員等処遇改善加算(新加算Ⅰ~Ⅳ)」が新設されました。
なお、令和6年6月から令和7年3月末までの経過措置区分として、旧3加算の取得状況に基づく加算率を維持した上で、今般の改定による加算率の引上げを受けることができるよう、新加算Ⅴ(1)~(14)も設けられています。
2. 令和6・7年度の処遇改善加算の配分方法
国・厚生労働省は、介護従事者の賃上げへとつながるよう、事業所の過去の賃上げ実績をベースとしつつ、今般の報酬改定による加算措置の活用や、賃上げ促進税制の活用を組み合わせることにより、令和6年度に+2.5%、令和7年度に+2.0%のベースアップを実現するように案内しています。
こうした中で、今回の報酬改定では、処遇改善分について2年分を措置しており、令和7年度分を前倒しして、賃上げすることも可能になっています。
なお、今回の報酬改定では、処遇改善分について2年分を措置し、3年目の対応については、令和8年度予算編成過程で検討することになっています。
また、前倒しした令和6年度の加算額の一部を、令和7年度に繰り越して賃金改善に充てることも可能です。
3. 3つの要件と職種間配分ルール
新加算を算定するためには、「キャリアパス要件」「月額賃金改善要件」「職場環境等要件」の各要件をそれぞれ満たす必要があります。
なお、新加算では、加算による賃金改善の職種間配分ルールが統一されます。具体的には、介護職員への配分が基本となり、特に経験・技能のある職員に重点的に配分することとなりますが、事業所内で柔軟な配分を認められます。
4. キャリアパス要件
キャリアパス要件はⅠ~Ⅴまであり、なかでもⅠ~Ⅲは根拠規程を書面で整備の上、全ての介護職員に周知する必要があります。
(1)キャリアパス要件Ⅰ(任用要件・賃金体系)
介護職員について、職位、職責、職務内容等に応じた任用等の要件を定め、それらに応じた賃金体系を整備する。
・新加算Ⅰ~Ⅳの要件
・令和6年度中は年度内の対応の誓約で可
(2)キャリアパス要件Ⅱ(研修の実施等)
介護職員の資質向上の目標や以下のいずれかに関する具体的な計画を策定し、当該計画に係る研修の実施又は研修の機会を確保する。
a 研修機会の提供又は技術指導等の実施、介護職員の能力評価
b 資格取得のための支援(勤務シフトの調整、休暇の付与、費用の援助等)
・新加算Ⅰ~Ⅳの要件
・令和6年度中は年度内の対応の誓約で可
(3)キャリアパス要件Ⅲ(昇給の仕組み)
介護職員について以下のいずれかの仕組みを整備する。
a 経験に応じて昇給する仕組み
b 資格等に応じて昇給する仕組み
c 一定の基準に基づき定期に昇給を判定する仕組み
・新加算Ⅰ~Ⅲの要件
・令和6年度中は年度内の対応の誓約で可
(4)キャリアパス要件Ⅳ(改善後の賃金額)
経験・技能のある介護職員のうち1人以上は、賃金改善後の賃金額が年額440万円以上であること。
ただし、小規模事業所等で加算額全体が少額である場合などは、適用が免除。
・新加算Ⅰ・Ⅱの要件
・令和6年度中は月額8万円の改善でも可
(5)キャリアパス要件Ⅴ(介護福祉士等の配置)
サービス類型ごとに一定割合以上の介護福祉士等を配置していること。
・新加算Ⅰの要件
5. 月額賃金改善要件
月額賃金改善要件はⅠ・Ⅱがあります。
(1)月額賃金改善要件Ⅰ
新加算Ⅳ相当の加算額の2分の1以上を、月給(基本給又は決まって毎月支払われる手当)の改善に充てる。
なお、現在、加算による賃金改善の多くを一時金で行っている場合は、一時金の一部を基本給・毎月の手当に付け替える対応が必要になる場合あり(賃金総額は一定のままで可)。
<例>
新加算Ⅳの加算額が1,000万円の場合、500万円以上(新加算Ⅳの1/2以上)は基本給等での改善に充てる必要がある。たとえ新加算Ⅲ以上を取得していても、新加算Ⅳの1/2分以上(ここでは500万円以上)だけを基本給等の改善に充てていればよい。
・新加算Ⅰ~Ⅳの要件
・令和7年度から適用
(2)月額賃金改善要件Ⅱ
前年度と比較して、現行のベースアップ等加算相当の加算額の3分の2以上の新たな基本給等の改善(月給の引上げ)を行う。
なお、新加算Ⅰ~Ⅳへの移行に伴い、現行ベア加算相当が新たに増える場合、新たに増えた加算額の3分の2以上、基本給・毎月の手当の新たな引上げを行う必要あり。
<例>
新加算Ⅳを取得し、そのうち旧ベア加算相当が300万円であった場合、200万円以上は基本給等で改善する。
・新加算Ⅰ~Ⅳの要件
・現行ベア加算未算定の場合のみ適用
6. 職場環境等要件
新加算の区分ごとに要件が異なります。
(1)新加算Ⅰ・Ⅱ
6の区分ごとにそれぞれ2つ以上(生産性向上は3つ以上、うち⑰または⑱は必須)取り組む。情報公表システム等で実施した取組の内容について具体的に公表する。
・令和6年度中は区分ごと1以上、取組の具体的な内容の公表は不要。
(2)新加算Ⅲ・Ⅳ
6の区分ごとにそれぞれ1つ以上(生産性向上は2つ以上)取り組む
・R6年度中は全体で1以上
(3)区分1 入職促進に向けた取組
① 法人や事業所の経営理念やケア方針・人材育成方針、その実現のための施策・仕組みなどの明確化
② 事業者の共同による採用・人事ローテーション・研修のための制度構築
③ 他産業からの転職者、主婦層、中高年齢者等、経験者・有資格者等にこだわらない幅広い採用の仕組みの構築(採用の実績でも可)
④ 職業体験の受入れや地域行事への参加や主催等による職業魅力度向上の取組の実施
(4)区分2 資質の向上やキャリアアップに向けた支援
⑤ 働きながら介護福祉士取得を目指す者に対する実務者研修受講支援や、より専門性の高い介護技術を取得しようとする者に対するユニットリーダー研修、ファーストステップ研修、喀痰吸引、認知症ケア、サービス提供責任者研修、中堅職員に対するマネジメント研修の受講支援等
⑥ 研修の受講やキャリア段位制度と人事考課との連動
⑦ エルダー・メンター(仕事やメンタル面のサポート等をする担当者)制度等導入
⑧ 上位者・担当者等によるキャリア面談など、キャリアアップ・働き方等に関する定期的な相談の機会の確保
(5)区分3 両立支援・多様な働き方の推進
⑨ 子育てや家族等の介護等と仕事の両立を目指す者のための休業制度等の充実、事業所内託児施設の整備
⑩ 職員の事情等の状況に応じた勤務シフトや短時間正規職員制度の導入、職員の希望に即した非正規職員から正規職員への転換の制度等の整備
⑪ 有給休暇を取得しやすい雰囲気・意識作りのため、具体的な取得目標(例えば、1週間以上の休暇を年に●回取得、付与日数のうち●%以上を取得)を定めた上で、取得状況を定期的に確認し、身近な上司等からの積極的な声かけを行っている
⑫ 有給休暇の取得促進のため、情報共有や複数担当制等により、業務の属人化の解消、業務配分の偏りの解消を行っている
(6)区分4 腰痛を含む心身の健康管理
⑬ 介護職員の身体の負担軽減のための介護技術の修得支援、介護ロボットやリフト等の介護機器等導入及び研修等による腰痛対策の実施
⑭ 短時間勤務労働者等も受診可能な健康診断・ストレスチェックや、従業員のための休憩室の設置等健康管理対策の実施
⑮ 雇用管理改善のための管理者に対する研修等の実施
⑯ 事故・トラブルへの対応マニュアル等の作成等の体制の整備
(7)区分5 生産性向上のための業務改善の取組
⑰ 厚生労働省が示している「生産性向上ガイドライン」に基づき、業務改善活動の体制構築(委員会やプロジェクトチームの立ち上げ又は外部の研修会の活用等)を行っている
⑱ 現場の課題の見える化(課題の抽出、課題の構造化、業務時間調査の実施等)を実施している
⑲ 5S活動(業務管理の手法の1つ。整理・整頓・清掃・清潔・躾の頭文字をとったもの)等の実践による職場環境の整備を行っている
⑳ 業務手順書の作成や、記録・報告様式の工夫等による情報共有や作業負担の軽減を行っている
㉑ 介護ソフト(記録、情報共有、請求業務転記が不要なもの。)、情報端末(タブレット端末、スマートフォン端末等)の導入
㉒ 介護ロボット(見守り支援、移乗支援、移動支援、排泄支援、入浴支援、介護業務支援等)又はインカム等の職員間の連絡調整の迅速化に資するICT機器(ビジネスチャットツール含む)の導入
㉓ 業務内容の明確化と役割分担を行い、介護職員がケアに集中できる環境を整備。特に、間接業務(食事等の準備や片付け、清掃、ベッドメイク、ゴミ捨て等)がある場合は、いわゆる介護助手等の活用や外注等で担うなど、役割の見直しやシフトの組み換え等を行う。
㉔ 各種委員会の共同設置、各種指針・計画の共同策定、物品の共同購入等の事務処理部門の集約、共同で行うICTインフラの整備、人事管理システムや福利厚生システム等の共通化等、協働化を通じた職場環境の改善に向けた取組の実施
※ 生産性向上体制推進加算を取得している場合には、「生産性向上(業務改善及び働く環境改善)のための取組」の要件を満たすものとする
(8)区分6 やりがい・働きがいの醸成
㉕ ミーティング等による職場内コミュニケーションの円滑化による個々の介護職員の気づきを踏まえた勤務環境やケア内容の改善
㉖ 地域包括ケアの一員としてのモチベーション向上に資する、地域の児童・生徒や住民との交流の実施
㉗ 利用者本位のケア方針など介護保険や法人の理念等を定期的に学ぶ機会の提供
㉘ ケアの好事例や、利用者やその家族からの謝意等の情報を共有する機会の提供
7. 定期巡回・随時対応型訪問介護看護の加算率
定期巡回・随時対応型訪問介護看護(以下、定期巡回・随時対応サービス)の新加算Ⅰ~Ⅳの加算率は以下となり、旧3加算の合計より2.1%の引き上げとなっています。これは訪問介護や夜間対応型訪問介護と同様、全介護保険サービスのなかで最も高い加算率となります。
・新加算Ⅰ 24.5%
・新加算Ⅱ 22.4%
・新加算Ⅲ 18.2%
・新加算Ⅳ 14.5%
8. スマケア導入で生産性向上
定期巡回・随時対応サービス業務支援システム「スマケア」を導入いただければ、職場環境等要件の生産性向上のうち、「⑳業務手順書の作成や、記録・報告様式の工夫等による情報共有や作業負担の軽減を行っている」や「㉑介護ソフト(記録、情報共有、請求業務転記が不要なもの)、情報端末(タブレット端末、スマートフォン端末等)の導入」などを満たすことができます。
スマケアを活用して業務効率化を進めることで、「介護の質」を上げる活動に注力でき、生産性や利用者の満足度向上の効果が期待できます。
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