
【処遇改善加算 最上位算定の現実】定期巡回事業所が「加算Ⅰロ」を獲得し、選ばれる職場をつくるためのICT活用術
厚生労働省の中央最低賃金審議会より「令和8年度地域別最低賃金額改定の目安について」が公表され、東京都では今年10月から最低賃金が時間額1,280円に引き上げられることが決定しました。
他の道府県でも同様に大幅な引き上げが行われる見通しで、全国の加重平均は1,177円となり、いまより57円上がる見込みです。
他産業との人材獲得競争が激化するなか、働く方々の処遇改善が進むことは好ましい変化です。
一方で、事業所を運営する経営者や管理者の皆様にとっては、「増大する人件費をどのように繰り策するか」という非常にシビアな課題に直面されているのではないでしょうか。
特に介護保険事業は、物価や人件費が上がったからといって事業所の判断で提供価格(利用料)を自由に引き上げることができません。
こうした中で事業を持続させていくためには、制度の変化に合わせた「生産性の向上」と「事業構造の見直し」が不可欠です。
本記事では、最低賃金引き上げの現状と介護経営に与える影響を整理した上で、人件費高騰の波を乗り越えるための具体的な解決策について解説します。
(参考出典:)
厚生労働省「令和8年度地域別最低賃金額改定の目安について」
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_74920.html
東京労働局「東京都最低賃金を1,280円に引上げます」
https://jsite.mhlw.go.jp/tokyo-roudoukyoku/news_topics/houdou/20260901chinginka_00001.html
まずは、今回の改定内容と「最低賃金」の基本的な仕組みについて整理しておきましょう。
最低賃金制度の基本ルール
最低賃金とは、最低賃金法に基づき、国が「事業主が労働者に支払わなければならない賃金の最低ライン」を定める制度です。
正社員、パート、アルバイト、派遣スタッフといった雇用形態を問わず、すべての働く人に適用されます。
仮に最低賃金より低い金額で契約を結んでいた場合、法律上その契約は無効とみなされ、差額を支払う義務が生じます。
令和8年度の改定内容と近年の推移
最低賃金は、毎年夏に国の審議会で引き上げ額の「目安」が示され、それをもとに各都道府県の審議会で実際の改定額が決定します。
近年は物価高騰や政府による賃上げ推進政策を背景に、引き上げ幅が高水準で推移しています。
令和8年度の全国加重平均(全国の平均値)および東京都の最低賃金は以下の通りです。
● 令和8年度 全国加重平均(目安):1,177円(昨年度比 +56円)
● 令和8年度 東京都最低賃金:1,280円(昨年度比 +54円)
時給1,280円の場合、週40時間働くフルタイム労働者の月給換算では約20万円〜21万円前後の基本給ラインが必要となり、非常勤スタッフを多く抱える訪問介護や通所介護などの事業所においては、ダイレクトに人件費率の上昇へと繋がります。
最低賃金の引き上げは、現場で働く「介護職員」と事業を運営する「経営者」の双方に大きな影響を与えます。
双方の視点からメリット・デメリットを整理してみましょう。
介護職員の視点
● メリット:生活の安定と労働意欲の向上
基本時給が引き上げられることで、月々の手取り額が増加します。
他産業との賃金格差が埋まることで、介護職として働くモチベーション向上に繋がります。
● デメリット:「年収の壁(扶養枠)」による就労調整
時給が上がることで、配偶者の扶養内で働いているパート職員は「年収の壁(103万円・130万円など)」に早く達してしまいます。
その結果、年末に向けてシフトを減らさざるを得なくなり、事業所全体のシフト繰りが厳しくなるリスクがあります。
経営者の視点
● メリット:採用力の強化と離職防止
近隣の他業種(飲食・小売など)に見劣りしない賃金水準を提示できるようになるため、新規スタッフの募集や既存スタッフの引き留め(定着)に有利に働きます。
● デメリット:人件費率の上昇による経営圧迫
最低賃金対象のスタッフだけでなく、すでにそれ以上の賃金で働いている既存スタッフ(中堅・リーダー層)との昇給バランスを保つ必要が生じ(給料の底上げ)、事業所全体の総人件費が大きく膨らみます。
この「年1回の賃上げ」と「3年に1度の報酬改定」のギャップを乗り切るためには、従来の「出来高型(訪問回数型)」のサービスモデルから脱却し、生産性の高い事業構造へとシフトしていく必要があります。
その有効な選択肢として注目されているのが「定期巡回・随時対応型訪問介護看護(以下、定期巡回サービス)」です。
なぜ定期巡回サービスが人件費高騰に強いのか?
1.「包括報酬(月額固定)」による安定した収益基盤
従来の訪問介護が「1回訪問して◯円」という出来高払いであるのに対し、定期巡回サービスは要介護度に応じた「月額固定の包括報酬」です。
これにより、売上の予測が立てやすく安定した経営基盤を構築できます。
2.サービス量や内容の柔軟な調整(生産性の向上)
包括報酬であるため、利用者のその日の状態に合わせて「15分の短時間訪問を数回に分ける」「様子をみて調子が良ければ滞在時間を短縮する」といった柔軟なオペレーションが可能です。
無駄な待機時間や移動時間を削り、1人のスタッフでより多くの利用者に対応できるため、人件費あたりの生産性が飛躍的に向上します。
訪問回数に縛られず、ケアの質を保ちながら人員配置を最適化できる定期巡回サービスは、人件費率が上昇する時代において極めて有利な事業モデルといえます。
東京都での1,280円をはじめ、全国的に最低賃金の引き上げが加速しています。
毎年上がる人件費と、3年に1度の介護報酬改定というギャップの中で生き残るためには、単なるコスト削減ではなく「包括報酬サービスの活用」と「ICTによる生産性向上」への踏み出しが必要です。
持続可能な介護経営を実現するための第一歩として、ぜひ事業構造の見直しをご検討ください。
自社で定期巡回サービスを立ち上げる方法や、スマケアを活用した具体的な活用事例について詳しくまとめた「役立つホワイトペーパー(各種資料)」をご用意しております。
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