
「高齢者・介護関連サービス産業振興に関する戦略検討会」の取りまとめについて
2025年度の最低賃金に関して、厚生労働省の中央最低賃金審議会より、過去最大となる引き上げの目安が示されました。
この改定は、労働者の生活水準に直接影響するだけでなく、多くの企業の経営戦略にも関わる重要な決定です。
本記事では、今回の最低賃金改定の概要と背景、労働者および企業への具体的な影響、特に課題が指摘される介護業界の動向、そして政府による支援策について、分かりやすく解説します。
中央最低賃金審議会は、2025年度の最低賃金引き上げ目安を全国加重平均で1,118円とすることを決定しました。
これは現行から63円(6.0%)の大幅な引き上げとなります。
全国平均最低賃金の推移と2025年度の目安
年度 |
全国加重平均額 |
前年度からの増額 |
2022年度 |
961円 |
+31円 |
2023年度 |
1,004円 |
+43円 |
2024年度 |
1,055円 |
+51円 |
2025年度(目安) |
1,118円 |
+63円 |
※2024年度までは実績値、2025年度は中央最低賃金審議会の目安
この改定により、政府が目標としていた「2025年を目途に全都道府県で1,000円超」が達成される見込みです。
新たな最低賃金は、2025年10月上旬から中旬にかけて順次適用が開始される予定です。
今回の歴史的な引き上げには、以下の図に示すような複合的な要因が存在します。
背景要因 |
概要 |
📈 春闘での賃上げ |
2025年春闘における高水準の賃上げの流れが最低賃金の議論にも反映 |
🛒 継続的な物価上昇 |
食料品等の価格高騰が続き、労働者の実質賃金を確保する必要性が高まっている |
👥 深刻化する人手不足 |
労働市場の逼迫により、人材確保の観点から企業の賃金引き上げが求められる |
🌐 政府目標と国際水準 |
「2030年代半ばまでに全国平均1,500円」という政府目標と、OECD諸国水準への意識 |
今回の目安通りに改定が進んだ場合、全都道府県で最低賃金が1,000円を突破します。
しかし、地域間の格差は依然として存在します。
2025年度の最高額・最低額(予測)
2024年度 |
2025年度 (予測) |
|
最高額(東京都) |
1,163円 |
1,226円 |
最低額(秋田県など) |
951円 |
1,014円 |
金額差 |
212円 |
約212円 |
※2025年度の金額は、現行額から目安通りに一律63円増額された場合の予測値
労働者への影響(メリット) |
企業への影響(課題) |
|
収入面 |
収入の増加、特に低賃金労働者の所得向上 |
人件費コストの増加、収益構造の圧迫 |
生活面 |
生活水準の改善、購買力の維持・向上 |
商品・サービスへの価格転嫁の必要性 |
労働市場 |
地域間の所得格差の是正に寄与 |
生産性向上が必須に |
制度面 |
― |
「年収の壁」問題の顕在化、就業調整の発生 |
介護業界が直面する主な課題 |
求められる対策の方向性 |
1. 人件費増による利益圧迫 |
→ 生産性向上(ICT導入、業務効率化) |
2. 倒産リスクの増大 |
→ 経営基盤の強化(M&Aの検討、事業再編) |
3. 職員間の賃金バランスの悪化 |
→ 人事・給与制度の見直し(評価制度の再構築) |
4. 他産業への人材流出 |
→ 魅力ある職場づくり(処遇改善、働き方改革) |
支援の目的 |
具体的な制度・施策の例 |
賃上げの直接支援 |
・業務改善助成金 |
生産性の向上支援 |
・中小企業省力化投資補助金 |
取引条件の改善 |
・労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針 |
資金繰りの支援 |
・セーフティネット貸付制度 |
2025年度の最低賃金引き上げは、労働者の所得向上に寄与する一方で、企業にとっては収益を圧迫しかねない経営課題でもあります。
この変化を乗り越えるためには、政府の支援策の活用に加え、事業所内での生産性向上への取り組みをこれまで以上に加速させることが不可欠です。
特に、ICTの活用は業務効率化の鍵となります。
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