(津金澤様)
日本における対人援助の本質は、利用者様の自宅での生活をいかに延長させることができるかに尽きると考えています。
そのための現状の最善の選択肢が「定期巡回・随時対応サービス」でした。
ただし、「居場所、死に場所としての自宅」だけでは不十分です。
私は、「クライエント(利用者やその家族等)の要望に適切なタイミングで応える時間、当事者が、その気になるまで待つ時間」と、「クライエントの立場で共感的理解をしながら寄り添う人」、この3つが揃ってこその在宅介護だと考えています。
定期巡回サービスは、場所の問題を解決し、職員の人材育成が適切になされれば、現状で最善の対人援助サービスだと確信しています。
―――理念の実現と同時に、経営的な観点からもメリットがあったのでしょうか?
(津金澤様)
はい。むしろ、介護事業の「持病」といわれる3つの根本的リスクを解消できる唯一の事業だと考えています。
1つ目のリスクは、介護報酬単価と施設定員が厳格な中で定期昇給を続けていくことの構造的な不可能さです。
2つ目は、高齢者数が減少傾向に転じる地域も出始める中、多額の設備投資が必要な「箱物事業」のリスクです。
減価償却に合わせて10年、20年と融資返済を続ける計画は、その段階で既に破綻していると言えます。
そして3つ目のリスクは、厳格な人員配置基準を守り続けるための人的資源が、日本の労働市場において絶対的に枯渇していることです。
定期巡回・随時対応サービスは、この3つのリスクを回避できる、持続可能な事業モデルだと判断しました。
導入の決め手は「何があっても止まらない」絶対的な安定性

―――そのサービス運営の基盤として「スマケア」を選定された決め手は何だったのでしょうか?
(津金澤様)
平時は当然ながら、緊急時においても、通報回線を含めたシステム全体が絶対に止まらないこと。
これがスマケア選択の最大の理由です。
何があっても止まらないという安定感は、クライエントの安全と、我々事業者への信頼に直結しています。
―――他社システムと比較しても、その安定性が際立っていたと。
(津金澤様)
はい。例えば、スマケアのコールセンターは24時間以上の非常用自家発電源を持っていると聞いています。
仮に大規模な電気障害が発生し、当事業所に壊滅的な被害が起きても、スマケアが全体のシステムとしてリカバリーができる。
この頼もしさは、他にかえがたい存在感です。
BCPと生産性向上を実現する「テレビ電話」という必然
―――さらに「テレビ電話」も導入されています。これにはどのような狙いがあるのでしょうか?
(津金澤様)
ICT機器の介護現場導入は当然の流れです。
令和3年度の改正でも「テクノロジーの活用を通じた業務効率化・業務負担軽減の推進」と明記されています。
今改正では、介護老人福祉施設(特養)などが対象になっていますが、これは近い将来、必ず在宅介護においても普及すると考えられます。
―――特にどのような場面での活用を想定されましたか?
(津金澤様)
BCP(事業継続計画)の観点です。
例えば、感染症の蔓延や、大雪・台風といった自然災害下こそ、利用者様の安否確認や心のケアは欠かせません。
とはいえ、社会が被害を受けていれば介護職の人員も通常通りにはいきません。
その時に、1日5回の訪問予定のうち何回かをテレビ電話での対応に切り替えることで、非常緊急時であっても援助サービスを低下させずに、限られた人材でより多くのクライエントの安全と安心を守ることができます。
―――スマケアと連携するテレビ電話ならではの利点もあったのでしょうか。
(津金澤様)
携帯電話などの無線回線(SIM内蔵)を使用している点です。
これにより、有線回線(固定電話)を持っていないご家庭でも導入が簡単であり、有線電話よりも災害に強い。
今後、訪問系サービス分野のBCPには、数多くの事例として明記されると考えています。
現場の事例:「顔が見える安心感」と「設置場所の自由度」
(ここからは、サービス提供責任者の緒方様にお伺いします)
―――緒方様、実際にテレビ電話を導入されてみて、現場でのメリットはいかがですか?
(緒方様)
良かった点は大きく3つあります。
1点目は、テレビ電話を通じて利用者様の様子を「映像」で確認できることです。
利用者様からも「ヘルパーさんの顔が見えると安心する」と好評で、お互いの距離感が近付いたように思います。
2点目は、SIMが内蔵されているので、固定電話の有無や、場所を気にせずに設置できることです。
これまでのコール機は電話回線につなげる必要があり、実質的に設置できる場所に制限がありました。
テレビ電話は場所を選ばずに設置でき、固定電話のない利用者宅でも使用できるので重宝しています。
―――3点目はいかがでしょう。
(緒方様)
こちらから通話した際、一定時間が経つと自動的に利用者宅の映像が表示されることです。
電話の場合、利用者様が出ないと不測の事態を想定して随時訪問していましたが、テレビ電話は応答がなくても一定時間後に映像が表示されるので、不在なのか、転倒していないか等、利用者の様子をある程度把握できて便利です。
コール機が遠いお宅でも、ベッドサイドでスムーズに
―――具体的な活用事例があれば教えてください。
(緒方様)
実際にあった話として、固定電話の電話回線が玄関にあり、利用者様の居室まで離れていたお宅にテレビ電話を設置しました。
以前は居室からコール機のある玄関が遠く、会話もままならなかったのですが、テレビ電話をベッドサイドに設置したことでスムーズにやり取りできるようになりました。
―――それは利用者様も助かりますね。
(緒方様)
はい。ほかにも安否確認に活用していて、ヘルパーが訪問せずに、テレビ電話の画面越しに利用者様と会話して、その日の体調や様子をうかがうこともあります。
定期巡回サービスは、退院後にすぐに利用がはじまるなど、急にサービスが決まることも多いので、固定電話の有無に左右されないテレビ電話は、1事業所にいくつかあると本当に便利だと思います。
―――設置にあたり、利用者様のIT機器への抵抗などはありませんでしたか?
(緒方様)
当初は操作を拒否されないか不安でしたが、スマートフォンの普及が進み、高齢者でもタブレット型の機器に触れる機会が多くなったためか、あまり抵抗は感じていないようです。
むしろ、同居しているご家族の方が、ヘルパーに自室が見られることが嫌で、カメラを付箋等でふさぐケースもあります。
その際は、ご家族のプライバシーも尊重して、臨機応変にその場で対応しています。
【利用者様の声】「ボタン一つで、顔を見て話せる安心感」
(ここからは、実際にサービスを利用されている方にお話を伺いました)
―――定期巡回サービスは長くお使いなのですか?
(利用者様)
1日に何回も来てくれるし、困ったときは通報できて、すぐに訪問してくれて、本当に有難いね。
定期巡回サービスを使いながら、週2回デイサービスにも通っているよ。
身体は不自由だけど、友達と過ごすのが楽しみだね。
―――テレビ電話も活用されているそうですね。
(利用者様)
普段はベッドで過ごしているけれど、コール機が居室から離れていて会話がしづらかったんだ。
テレビ電話がきて、枕のすぐ横に置いてくれたから、話しやすくなったよ。
寂しい時にボタン1つで事業所とつながって、毎日来てくれるヘルパーさんと顔をみて話ができるから安心するね。
―――最後に、今後どのように暮らしていきたいですか。
(利用者)
できるだけ今の生活を続けていきたいね。
毎朝ヘルパーさんがやってきて、「おはよう!」って気持ちよく挨拶してくれるんだけど、元気をもらえるし嬉しいよ。
今の事業所に支えてもらって、みんなが周りにいてくれて、わたしは幸せだなあ。
ITを活用し、必要なサービスを必要なタイミングで
(インタビューに戻り、津金澤様にお伺いします)
―――利用者様の「幸せ」という言葉、何よりですね。最後に、オールプロジェクト様の今後の展望をお聞かせください。
(津金澤様)
はい。これからも、利用者様に必要なサービスを、必要なタイミングで提供していきたいです。
そのためには、スマケアのようなITを上手く活用して、マンパワーが足りないところを補っていけたらと考えています。
「定期巡回・随時対応サービス」の理念を実現するためには、経営の安定化と、現場の効率化が欠かせません。
オールプロジェクト様の事例は、確かな安定性を持つ「スマケア」を基盤に、「テレビ電話」というICT技術を連携させることで、BCP対策と生産性向上、そして何より利用者様の「安心」と「幸せ」を同時に実現できることを示しています。
ちなみに、今回ご紹介したテレビ電話の導入には、「IT導入補助金」を活用できる場合がございます。
スマケアでは、この補助金申請の実績も豊富にあり、申請サポートも行っております。
「スマケア」や「テレビ電話連携」にご興味をお持ちの方、また「定期巡回・随時対応サービス」の開設や運営効率化についてお考えの方は、ぜひお気軽に資料請求、またはお問い合わせください。








