
人手不足でもできる!介護事業所の営業活動とスマケア活用術
介護の現場で働く皆様に、ぜひ知っておいていただきたい大切な情報があります。
それは「2027年に介護保険制度が大きく見直される可能性がある」ということです。
このニュースを耳にしたことはありますか?
2025年9月29日に開催された国の「社会保障審議会・介護保険部会」という場で、まさにその制度改正に向けた本格的な議論が進められています。
「制度の話はなんだか難しくて、自分には関係ないかな…」
「『給付と負担』と言われても、日々の業務で手いっぱいで…」
そう感じてしまうのも無理はありません。
しかし、今まさに専門家たちが議論していることは、私たち介護従事者の働き方や事業所の運営、そして何より利用者さんの日々の暮らしに直結する、避けては通れないテーマなのです。
本記事では、制度改正の最も大きな焦点である「給付と負担」をめぐる3つの大論争について、介護のプロである「現場の目線」で、一つひとつ丁寧に解きほぐしていきます。
この大きな変化は、私たちに何を問いかけているか、一緒に考え、未来への備えを始めるきっかけにしていただければ幸いです。
◆参考資料
厚生労働省 社会保障審議会 介護保険部会(第125回)
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_64004.html
最初の大きな論点は、「ケアプラン作成の有料化」です。
■ 何が変わる?
ご存知の通り、現在ケアマネジャーが作成するケアプラン(居宅介護支援)は、費用の全額が介護保険から支払われており、利用者さんの自己負担は0円です。
これは、誰もが必要な介護サービスに公平にアクセスするための、いわば「支援の入り口」としての重要な役割を担っています。
しかし、社会保障審議会・介護保険部会では、このケアプラン作成に、他の介護サービスと同じように「費用の1割~3割の自己負担」を求めるべきではないか、という点が議論されています。
■ 現場への影響は?
もし、この「支援の入り口」が有料になったら、現場にはどのような影響が出るでしょうか。
最も心配されているのが、利用者さんの「相談控え」や「サービス控え」です。
「お金がかかるなら、ケアマネさんに相談するのはやめておこう…」
「プランを少し見直してほしいけど、それも有料になるのかしら…」
利用者さんがこのように感じてしまうことで、本当に必要な支援に繋がる最初のステップをためらってしまうかもしれません。
ささいな変化を相談できずにいるうちに状態が悪化し、結果的により多くの介護が必要な「重度化」に進んでしまうという懸念が、部会の中でも多くの関係者から強く表明されています。
また、ケアマネジャーの立場から見ても、「利用者さんから直接お金をいただく」という関係性が、「公正・中立」であるべきケアマネジメントのあり方に影響を与えかねないという声も上がっています。
利用者さんとの信頼関係の土台にも関わる、非常に重要な論点だと言えるでしょう。
【論点②】利用者負担が「1割→2割」へ。サービス控えは事業所の経営を直撃
2つ目の大きな論点は、「利用者負担割合の引き上げ」です。
これは、事業所の経営にも直接関わってくる、非常にシビアな問題です。
■ 何が変わる?
現在、介護サービスを利用する方の9割以上は、費用の「1割」を自己負担しています。
今回の議論では、この1割負担の方の範囲を狭め、一定以上の所得がある方については「2割」や「3割」の負担へと引き上げるべきではないか、という点が検討されています。
賛成派からは「現役世代の負担が限界にきている。年齢ではなく、負担できる能力に応じて支払うべきだ」という意見があります。
一方で反対派からは「物価高が続く中で、これ以上の負担増は高齢者の生活を壊しかねない」という強い反発の声が上がっています。
■ 現場への影響は?
もし、これまで1割負担だった利用者さんの負担が2割になったら、現場にはどのような変化が起こるでしょうか。
「デイサービスの利用を、週2回から1回に減らそうかしら…」
「ヘルパーさんにお願いしていた掃除は、今度から自分でやるわ…」
月々数千円の負担増だとしても、年金で暮らす利用者さんにとっては大きな問題です。
このように、経済的な理由による「サービス控え」が、あちこちで発生すると予想されます。
利用者さんにとっては、サービス利用の減少が心身機能の低下や孤立に繋がり、かえって状態を悪化させてしまう危険性があります。
そして、私たち事業者にとって、利用者一人ひとりの「サービス控え」は、事業所全体の稼働率の低下、つまり収益の悪化に直結します。
これは、サービスの質を維持し、職員の雇用を守っていく上での大きな脅威となりかねません。
利用者さんの生活を守ることと、事業所の経営を守ることの両面から、非常に難しい課題を突きつけられています。
最後の論点は、これまでとは少し性質が異なります。
サービスの根幹に関わる「給付範囲の見直し」です。
■ 何が変わる?
要介護度が比較的軽い「要介護1」と「要介護2」の方々を対象とした訪問介護(特に生活援助)と通所介護を、現在の全国一律の介護保険サービスから切り離し、市町村が運営する「地域支援事業」へ移すべきではないか、という議論が進められています。
「地域支援事業」とは、市町村が地域の実情に合わせて運営する、介護予防などを目的としたサービスです。
聞こえは良いかもしれませんが、これは「これまで専門職が担ってきたサービスを、運営基準の緩やかなサービス(ボランティアの活用なども含む)に置き換える」という側面も持っています。
この背景には、「限られた財源を、より介護が必要な重度者に重点的に使うべきだ」という財務省などの強い意向があります。
■ 現場への影響は?
もしこの見直しが実現すれば、介護現場のあり方は根底から変わってしまうかもしれません。
まず懸念されるのが、「サービスの質の低下」と「地域間格差の拡大」です。
全国一律の基準で提供されてきた専門的なケアが、市町村の財政状況や考え方によって、大きく変わってしまう可能性があります。
ある市では手厚いサービスが受けられるのに、隣の市ではそうではない、という事態も起こり得ます。
これは、「軽度者のうちから適切なケアを行うことが、重度化を防ぎ、自立した生活を支える」という介護保険の理念そのものを揺るがすことになりかねません。
私たち現場の人間にとっては、長年培ってきた専門性やケアの価値が軽んじられているように感じられるかもしれません。
また、事業所の視点では、訪問介護やデイサービスの事業モデルそのものを見直す必要に迫られます。
この流れは、逆に言えば、軽度者から重度者までを切れ目なく支える「定期巡回・随時対応サービス」のような、包括的なケアの重要性がますます高まっていくことを示唆しているとも言えるでしょう。
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